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春夏秋冬日々遊び♪ My作品ギャラリー☆彡

母の日に亡き母を思う
20080511-母フォト

昨年、
ちょっとした文化祭のようなものの
『母への手紙』の部門で
発表した作品です
    2008_5_11_

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貸せない



 そうそう、お母さん!

 例えば、今朝とかさ。
全自動洗濯機の終了ブザーまで、あと20分の猶予のとき「玄関でも掃こうか?メールでも打とうか?」と考えながら、結局、ボ~ッと過ごしちゃうのよねぇ。
 そこで、迷わず習慣のごとく、トイレ掃除とかを組み込めれば、立派な主婦なのだろうけど、「来客の予定もないし、そんなに汚れてもないし」って思っちゃうのが常なのよ。
 でも、結局、トイレ掃除はしましたよ!
言い訳までしちゃうと、「ほら、朝、出勤や登校で忙しく支度をしている家族が出払ってからじゃないと、掃除って邪魔じゃない!」

 お母さん!

貴女が何気なく言っていた
『お金は無いから貸せないって断れるけど、御不浄は無いから貸せないって断れないでしょ。』
は、私にとって、結構、格言なのよ。
 叱られたわけでもなく、躾として諭されたわけでもないのに、困っちゃうほど印象が強くてね。
 結納の日も、子どもの家庭訪問の日も、茶菓の用意の前に、先ずはトイレ掃除から始めちゃってたなぁ。
お産で入院する直前も、留守にするからって陣痛の狭間に掃除をして、主人に怒られたっけ。

 あっ、それから、お母さん!

 夕べ、妹が来たのよ。
今の企業に転職した時の話が出てね。面接に行った時に書かされた作文のことを話していた。

 テーマは「心に残る思い出」
 何を書こうか、ほとほと困って考えあぐねた末、「姉との思い出」を書いたンだって。「姉」って私の事だよ。我が子も友達もいるだろうに、選りによって「姉」だって。

 母が交通事故で他界し、父子家庭となって始めての授業参観日。
 父は仕事、何かと面倒を見てくれていた伯母も都合がつかず、「学校に行きたくない」とまで愚図った私。泣く泣く登校して、憂鬱な授業参観が始まると、教室の後ろに制服姿の姉が居た事。中学校を早退してまで来てくれた事。
 これが、最大の思い出です。

 こんな内容で書いたンだって。でもね私は覚えていないのよ。
「なにぃ!私が最大の思い出なのに、なぁんで、お姉ちゃんは覚えてないのよ。」
なんて言われたけれど、妹の世話は私にとっては日常の事で、取り立てて珍しい事ではなかったンだよねぇ。

 そうだよ、お母さん!

 妹が7歳、私が13歳の冬、車に撥ねられ即死で逝ってしまった貴女。
 家事のプロフェッショナルだった貴女の許で、中学校生活の多忙を理由に、何も、それこそ、お手伝いすらしていなかった私。
 周囲にも助けられ、日々の生活を何とかやっていく中で、私の最大の主婦業は「貴女の残した幼い末娘を寂しがらせないこと」だったンだよね。今、あらためて思い出した。

 でね!

事のついでに妹に
「綺麗好きなお母さんは『お金は無いから貸せないって断れるけど、トイレは無いから貸せないって言えないでしょ。』ってよく言っていたよね?」
って、聞いてみたわけ。
返事は
「何それ?」
 笑っちゃうでしょう。私が母である貴女に返した言葉と同じでしょ?
 その上、13歳の私は、
「お祖母ちゃん家(母の実家)は、お手洗いが外だし、バス停も側だからありえるけど、ウチになんか、わざわざ、お手洗いだけ借りに来る人居ないよ。」
って、突っぱねたンだよね。
 貴女が[御不浄]って言うから、私はわざわざ[お手洗い]って言ったンだっけ。
 おっとり育ててもらった私だけれど、それでもアノ頃はとんがっていたンだよね。

 私が反抗期の最中に逝ってしまった貴女。

 確かに、掃除の行き届いていないトイレは貸したくない。だから、貸せないトイレにしてないよ!
 そこの所をきっちりしておかないと、反抗しちゃった後悔の行き場が無いじゃない!
もっともっと、一緒に過ごしたかった。

 お母さん!

 でもね、貴女と過ごした13年間、記憶としては10年分にも満たないけれど、結構、膨らませられるンだ。不思議だね。
 だけど「思い出は貸せない」って事にも気がついちゃった。
 私が「お母さんの残した言葉、親からの伝承」として、ことあるごとに妹に話してきた生活の知恵は、
私には懐かしい母娘の思い出だけど、7歳で貴女を失った妹には「お母さんの思い出はお姉ちゃん経由」なんだって。
...出しゃばっちゃってゴメンね。

 私の記憶は私だけの思い出で、誰にも貸せやしないけれど、私を知って貰うことって、私を経由して、貴女と、さらに貴女の母へと遡って知ることになるンだよね。

 私の子どもは、今、22歳と19歳。とっくに貴女との日々より長いから、私も、そこそこ思い出を残せているかしら?
 貴女ほどの格言は無理だとしても、ちょっとは、知恵を授けられたかしら?

 お母さん!

 貴女が逝ってしまった時の歳に、私は、今年、追いつきます。


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